2009年8月28日金曜日

「本番までの通信.2」をアップしました

サイトに、「本番までの通信」第2号をアップしました。1回は7月18日のアップだったので、約40日ぶりのアップです。これではいけません。反省しています。
申し上げましたとおり、昨日の文章を書き改めて、「本番までの通信.2」にしました。以下の文章は、昨日分の、冒頭の詩と初めの段落の次に続くものとお思いください。スムースに読めるのは、サイトです。しかし、昨日の文章の続きと思っていただいてもけっこうです。
この「本番までの通信.2」をコピーしまして、皆様にお配りします。

*「本番までの通信.2」続き

 他愛もないことですが、以前、今回のトロッタ9は海の印象が強いと書きました。その文章を、8月初旬にしたためたせいであったでしょう。大谷歩さん作曲の『アルバ/理想の海』や、清道洋一さん作曲の『アルメイダ』といった、海に関わる曲が並んだせいもあったでしょう。夏と海にちなむ曲を、昨年の段階では演奏するプランであったことも、関係しているかもしれません。しかし、本番は9月27日(日)であり、季節は秋です。私にとって、海といえば夏ですが、この思いこみは、通じません。秋の海もあります。冬の海もあります。海を前に、解釈と表現を広げなければならない、柔軟にならなければと痛感します。 冒頭に掲げました詩は、『アルメイダ』の一篇、「千尋」です。清道洋一さんから、詩を書いて欲しい、と依頼された時、テーマは“架空のコマーシャル”でした。街や家庭で見聞きする、さまざまなコマーシャルがあります。そのための詩を創れないかと求められたのでした。考えましたが、難しく、コマーシャルとは世界を伝えることだと拡大解釈し、架空の国を作って、そこにまつわる様々な詩を書こうと思いました。国の名は、アルメイダ。海に浮かぶ海国として知られている、という設定です。-具体的にいえば、コマーシャルだと、コミック・ソングのようなものも書かなければ面白くなく、それは私には難しいという判断がありました-
 古謡としての「千尋」を始め、国歌「碧(あお)き国」、フォークソング「鳥」、歴史を題材にした歌「微笑みこそ」、現代詩にもとづく歌「ひとで」「わだつみ」「夜の海」、アルメイダを舞台にした歌劇『アルメイダ』より「王妃の詠唱」を書き、これらを散文詩「亡命詩人」で結びつけました。
 しかし、原作どおりに楽曲化しますと、一時間ではとうていおさまらない規模になります。トロッタで一曲に長時間を使うわけにはいかないという理由と、詩に引きずられない、清道さん自身の音楽にするためでしょう、彼は大胆な改変作業を行いました。トロッタ9で演奏される『アルメイダ』は、原作の何分の一かです。さらに、清道さんの創作によるせりふなどが、大幅に取り入れられます。私と清道さんの世界というより、清道さん単独の世界といった方がいいでしょう。どの作曲家との作業も、私はそれでいいと思っています。*ちなみに、トロッタ9が終わった直後、9月30日(水)から10月12日(月・祝)まで、東京・谷中のカフェ、谷中ボッサにて、造形と詩の共同展「扇田克也+木部与巴仁〈ユメノニワ〉」が行われ、初日と10月11日(日)、「ボッサ 声と音の会vol.5 音の形、詩の形、夢の形」が行われます。その二日目に、清道氏は『即興的断章-アルメイダより』を発表します。トロッタ9とは違う『アルメイダ』が聴けるでしょう。
 詩と音楽が融け合い、詩人の思いもよらない音楽が生まれようとしています。お楽しみに。
 御予約、お問い合わせをお待ち申しあげます。  〈木部与巴仁〉

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