2009年5月29日金曜日

夜が明けました

嵐を思わせる天気になっています。体調には気をつけなければいけません。いいことか悪いことか。鎧をまとったような精神状態になってはいるのですが。

一週間ほど前のことです。詩唱の舞台に立ちました。トロッタ9で発表予定の新作「アルバ/理想の海」に加え、ある詩人の作品集から二篇を詠みました。「アルバ」がうまく詠めたかどうかはわかりませんが、自分の詩であり、いつもの調子で、簑和田慶子さんと、さらにピアノの吉川正夫さんと御一緒に詠みました。いつもの調子というのは、私が理解している自分の範囲で、ということです。

もう二篇は、私の詩ではありません。ピアノもなく、詩唱のみです。せっかく詩を詠む機会があるのに、他人の詩を詠むなどもったいないという気持ちがあります。しかし、トロッタが近づいているから、純粋に詩唱の技術を確認したいと思いました。また、時には他人の世界に自分を置いて、他人の作品を詠む楽器になろうと思いました。
久しぶりに舌の先が乾きました。あやうくもつれそうになりましたが、何とか、持ちこたえました。
誰も回りにいない、ソロである緊張感ゆえでしょうか。
他人の世界にいるという緊張感ゆえでしょうか。
自分のものにしなければいけません。

今日は、10時から調律があって、新宿ハーモニックホールに行きます。そういえば、昨年の12月12日。上野の旧東京音楽学校奏楽堂で、清道洋一さんの「風乙女」初演の舞台に立った時のこと。本番前の練習で、どうにも、舞台が自分のものになりませんでした。木管四重奏の周りを歩いたり、フルート奏者を先導して客席を歩いたりするのですが、どうにも足が落ち着きませんでした。舞台が、自分のものになっていなかったのです。清道さんは、今度のトロッタでも、いろいろと計画を練っています。詩は私ですが、清道さんの世界に、身を置くことになります。演奏時間を、生きればいいと思っています。生きていさえすれば、何があってもいい。足がもつれて転んでも、生きていれば何でもありません。転ばない人生などないのですから。
私は、私を、自分のものにしたいと想います。

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